人前で演奏する、ということ

 ピアノ。それは私にとって、できて当たり前のことで、弾けて当然のことで、すごいね、上手いね、なんて言われても喜ぶべきではないことで。

 だけどやっぱり嬉しかった。デイケアで、人前で演奏して、すごいって言ってもらえること。誇らしく思えた。自分のことを。なんだろう、くすぐったくて、居心地が悪くて、でもずっと浸っていたいような、ぬるま湯みたい。私は昔から、この感覚が、苦手で好きだった。

 最近、そういう場面が増えてて、家族に少し負担をかけてる気がするけど、でも、私が私でいられるような時間ができた、というか。

 今回たまたま、デイケアのみんなで音楽イベント企画?に参加してみようって感じで、たまたまピアノ弾けるの知っててくれた人が私に伴奏のきっかけをくれて。それで、ギターの人とトランペットの人が、みんなで演奏してみたいねって言ってくれて。私なんかでいいのかなって気持ちもあるけど、でも、目の前の人がニコニコしてくれるのは、私の望んでた光景だった。私が、ピアノを弾くことで、笑顔になってくれる人がいる。それが私の夢だった。

 ママは、もっとすごい場所を目指すように言ってたんだろうけど。


 デイケアの音楽チームの名前は「ヴァルト・ムジカ」になった。ドイツ語で、森と音楽の単語を組み合わせただけの安易な名前。でもカッコイイって言ってもらえた。発言してみてよかった。

 もっと「ヴァルト・ムジカ」で活動?できたらいいな。いろんな人が、笑顔になったらいいな。私の力だけではダメでも。今までの「私」が無駄にならないように。

閉吐 憂。のひとりごと

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